2024-2028 AMED-PRIME「性差・個人差の機構解明と予測技術の創出」研究開発領域

“深層学習を用いた機能的結合解析法の開発と個人特性・精神神経疾患の推定”
PI: 近添 淳一 (2024年10月~2028年3月)
本研究は、精神疾患の客観的診断指標(バイオマーカー)開発を目的とし、安静時fMRIデータの新たな解析手法を提案する。従来の脳領域間機能的結合分析の限界を克服するため、深層学習技術(多層パーセプトロンとTransformerモデル)を活用し、局所的空間パターン情報を保持しつつ高精度な解析を目指す。 具体的には、(1)機能的結合の精度向上、(2)個人特性推定のための深層学習モデル開発、(3)精神・神経疾患診断アルゴリズムの作成、の3つを主要目標とする。Human Connectome ProjectやAMED国際脳プロジェクトのデータを用い、従来手法と新規手法を組み合わせたアンサンブルモデルを構築する。
サンプル数不足に対しては、集団モデル作成と個人最適化の2段階アプローチを採用。この手法は他の生物学データ解析にも応用可能であり、解析コードの共有やトレーニングコースを通じて知見を広く共有する。最終的に、個人の脳機能特性の精密評価と精神・神経疾患の早期診断・治療に向けた新しいソリューションの提供を目指す。

https://www.amed.go.jp/koubo/16/02/1602C_00026.html

2024-2027 防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度(防衛省ファンディング)

“五感の嗜好を模倣するデジタルツインによる汎用推薦システムの開発”
アトラ
PI: 近添 淳一 (2024年10月~2027年3月)
本研究では、個人の五感に基づく嗜好を模倣するデジタルツインを作成し、サイバー空間から最適な対象を見つける技術を開発することを目的とする。脳波と機能的MRIのデータを用いて、感覚モダリティを統合し、精度の高い推薦システムを構築する。特に、嗅覚、味覚、触覚を含む多感覚情報を用いた予測モデルを開発することで、個人の嗜好と感覚体験を正確に反映した推薦を実現する。

https://www.mod.go.jp/atla/funding/kadai/r06kadai.pdf

2024-2028 科学技術振興機構 創発的研究支援事業

“数学の脳情報表現に対する計算論的アプローチ”
PI: 中井 智也 (2024年10月~2028年3月)
計算論的認知神経科学は、人工知能技術と脳機能イメージング技術を組み合わせる新しい分野であるが、数学能力に関してはほとんど研究が進んでいなかった。本研究は機能的磁気共鳴画像法による脳データ計測、人工ニューラルネットによる特徴量抽出、符号化モデル法による脳データとニューラルネットの統合という3段階のアプローチによって、数学的思考の脳情報表現を包括的に説明する計算モデルを構築することを目指す。

https://www.jst.go.jp/souhatsu/research2/panel_kato.html

2024-2025 公益財団法人PwC財団 助成事業2024年度春期人間拡張

“PC制御を支援するBCI開発”
PI: 笹井 俊太朗 (2024年8月~2025年7月)
ALSなどの神経難病で身体機能が著しく制限された患者にとって、緊要性の高い動作であるコンピューター等のマウス制御を、視線入力などの従来の方法に代替し、患者に装着したBMIシステムの運用により行うことで、患者の心身への負荷軽減や操作性改善を検証する。このテクノロジーを活用することで、患者の脳によるコンピュータ制御・操作が可能となり、円滑かつ即時性の高いコミュニケーションの実現、さらには、患者の社会参画機会の創出や生活支援への寄与も目指す。

https://www.pwc.com/jp/en/about/member/pwc-foundation/grant.html

2024-2027 日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)

“曲がった統計多様体上のニューラルネットワーク”
PI: 島崎 秀昭、Co-PI: Pablo Morales (2024年6月~2027年3月)
物質・生命・社会に見出される複雑なネットワークの集合ダイナミクスは,個々の部分とその対の関係で説明される範囲を超え,高次の相互作用によって支配される創発的な振る舞いを示すことがある.しかし,複雑ネットワークにおける高次相互作用を簡潔にモデリングするフレームワークがないため,これらが集合ダイナミクスに果たす役割や機能はまだ明らかになっていない.本研究は,Renyiダイバージェンスに基づく曲がった統計多様体上のニューラルネットワークを題材として,高次相互作用を伴う複雑ネットワークを記述・解析するための数理モデリング技術を開発し,現在の複雑ネットワークのモデリング体系を大きく変革することを目指す。

https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-24K21518

2024-2027 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究B

“並列的情報処理システムとしての脳の作動原理の解明”
PI: 近添 淳一 (2024年4月~2027年3月)
個人の意識は一見統一されているように感じられるが、実際には約1000億個の神経細胞の高度な統合により形成されている。これらの神経細胞は様々な機能モジュール(視覚、味覚、運動など)を構成し、自律神経系をはじめとする多くのシステムが自動的に作動している。近年の脳機能イメージング研究によって、これらの神経細胞ネットワークが自発的に活動すること、そして特定の疾患(例:エイリアンハンド症候群)を通じて、左右の脳が異なる意思決定をする可能性があることが示されている。これは、一つの個体内で複数の感覚・意思決定主体が存在する可能性を示唆している。
これらの知見に基づき、本研究では「意識は並列的に作動する脳内ネットワークの相互作用によって生じる」という仮説を立て、新しい解析方法でその検証を試みる。特に、回帰分析の自然な拡張として、多数の全結合層からなる深層学習モデルを用いることにより、ネットワーク間の協調的・疎外的相互作用をモデル化し、意識の遷移プロセスを可視化し、ネットワーク間の相互作用と個人の意識・行動との関係を明らかにする。

https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-24K03243/

2024-2026 日本学術振興会 科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 統一理論

“シンボル系列の予測に関する脳の計算モデル構築”
PI: 中井 智也 (2024年4月~2026年3月)
サプライザル理論は、文処理の困難さを文脈に対する単語の出現確率により定量化し、大規模言語モデルとヒトの文処理を比較できるようになった。本研究は、サプライザル理論と他手法の予測精度を比較し、大規模言語モデルと脳活動の関連性をより良く説明する手法を検討する。

https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PUBLICLY-24H02172/

2024-2026 日本学術振興会 科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) クオリア構造学

“計算モデルと発達脳機能イメージングによる記号分離仮説の検証”
PI: 中井 智也 (2024年4月~2026年3月)
近年、学習が進むにつれて記号と対象の脳内距離が離れていくという記号分離仮説が提唱された。本研究は人工ニューラルネットに より記号分離仮説を計算モデル上で再現できるかどうかを検討する。ニューラルネットから抽出した特徴量を利用して脳活動データを予測する 符号化モデルを構築し、ニューラルネットとヒト脳内における記号システムの学習過程における類似性を明らかにする。

https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PUBLICLY-24H01559/

2023-2026 日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究

“人間の脳におけるモダリティ非依存的な振動刺激の組織の解明”
PI: Pham Quang Trung (2023年4月~2026年3月)
振動刺激に対する触覚処理は、部分的に聴覚皮質を利用し、その逆もまた然りである可能性があります。我々の研究は、そのような現象に関与する全ての脳領域の包括的なマップを作成することを目指しています。振動刺激が体性感覚系と聴覚系の活性化に合わせて提示されるという仮説が提唱され、fMRI実験を通じて調査されます。

https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-23K17182/

2023-2026 日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究

“非シャノン系に対する最大エントロピー原理の原理的一般化”
PI: Pablo Morales (2023年4月~2026年3月)
最大エントロピー原理(MEP)は不偏分散モデルを作成するのに有効であるが、その標準的な定式化では関心のある多くの系が除外されている。このようなシステムが注目されるようになると、MEPの原理的な拡張が必要になる。このプロジェクトでは、情報幾何学を用いてMEPを拡張する。

https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-23K16855