ニューロテック応用チームでは脳・神経科学の最新の知見を私たちの生活や仕事をより快適で安全なものにする技術へと応用するための研究開発を行っています。アラヤが持つ先端的なAI技術を脳情報の測定・解析と組み合わせることで脳情報のセンシングや脳活動による各種デバイスの操作等の様々なプロダクト・サービスを提供し、私たち人間の生産性や幸福度を飛躍的に向上させることを目指します

KEY WORDS
#ブレインテック、ニューロテック
#Face2Brain
#脳科学実験のコンサルティングと解析
#脳データの自動解析パイプラインの構築

Highlights

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Brain activity estimation from facial video

ニューロテック(ブレインテック)は脳・神経科学の研究によってもたらされた知見の産業応用を目指す応用分野であり、近年大きな注目を浴びています。この分野で重要な役割を果たす非侵襲的な脳情報の計測手法としては①時間分解能が高い、②ウェアラブルな装置での計測が可能、③コストが比較的安価、といった特徴から「脳波」が選択されることが多くなっています。しかしながら、日常や仕事の様々な場面ではウェアラブルな脳波計であっても装着のハードルが高いケースも多く、様々な人々が広く脳情報を活用することの障害になっているという問題があります。この問題を解決する一助として我々のチームでは、一般的なカメラで撮影した人の顔動画から特徴量を抽出し、同時に計測した脳波の特定の周波数帯域のパワーを予測することが可能なシステムを深層学習を用いて開発しました(特許出願中)。左の動画では覚醒度や眠気と関わりの深いデルタ波の強さ(青色のライン)を顔動画から推定している(オレンジのライン)を様子を提示しています。アラヤではこの技術を自動車ドライバーや危険な作業に携わるワーカーの眠気予兆検知などの様々な用途へのソリューション開発に応用していきます

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Brain Machine Interface (BMI)

ニューロテックで分野では脳情報から集中力や感情などの内的な状態を読み取る「センシング技術」とは別に、私たちの「意図」を脳から直接読み取ることでロボットやコンピューターデバイスの操作を可能にする 「ブレイン・マシーン・インターフェース(Brain Machine Ineterface:BMI)」 あるいは 「ブレイン・コンピューター・インターフェース (Brain Computer Inferface :BCI)」 と呼ばれる研究分野があります。アラヤではBMI/BCI分野の研究開発も行っています。左の動画は開発の一例で、研究スタッフがコントローラーを使わずに脳波だけでレーシングゲームを操作している様子です。ここでは定常視覚誘発電位(Steady State Visual Evoked Potential:SSVEP)と呼ばれる、脳波が特定の周波数で動く視覚刺激に同調した反応を示す現象を利用して意図抽出のアルゴリズムを作成しています。動画内ではスタッフの意図している進行方向が視聴者の方にも分かるように指で方向を示してもらっています。アラヤでは汎用性のあるBMI/BCIアルゴリズムの開発や、VIE STYLE 株式会社との共同研究による脳波測定用のデバイスの小型化を通じて、誰もがハンズフリーでありとあらゆるデバイスを脳から直接操作することが日常風景になるような未来を早期に実現することを目指しています。

Members

笹井 俊太朗 Ph.D.
Chief Research Officer
2013年に東京大学大学院教育学研究科にてPhD取得(早期修了)。渡米し、University of Wisconsin-Madison医学部研究員として、意識の神経メカニズムの研究に従事。意識の統合情報理論の提唱者と共に理論の構築と検証に取り組む。意識の神経基盤に対応する脳部位の特定に寄与する成果を挙げたのち、2020年11月にアラヤに入社し、2021年10月より現職。意識理論を応用した「心をつなげるBMI」の社会実装を目指し、神経科学とAIの融合領域における基礎研究と、それを応用した新たなニューロテックプロダクトの開発を進めている。
蓬田 幸人 MD, Ph.D.
プロダクト開発マネージャー
東北大学医学系研究科にて博士号(医学)を取得。その後玉川大学脳科学研究所にて日本学術振興会特別研究員、嘱託研究員、特任准教授、国立精神経・医療研究センターにて室長として機能的MRIを中心とした脳機能イメージング研究に従事。2021年8月にアラヤ入社。ニューロテック領域の事業開発に取り組んでいる。
Chiaki Michibayashi
事業開発ジュニアマネージャー
北海道大学生物科学科、京都大学理学研究科にて発生生物学を専攻し、理学修士号を取得。その後日用品メーカーにて皮膚科学、口腔科学領域における研究開発、事業開発に従事。2022年2月にアラヤに入社し、面白くて快適な日常を作るべく、ニューロテック領域の事業開発に取り組んでいる。
能村 幸大郎
プロダクト開発ジュニアマネージャー
2022年1月にアラヤ入社。これまで複数の医療系企業で熱中症の予兆を予測するデバイスや生理データからのストレス測定、脳波を使った痛みの可視化などに研究開発を行ってきた。現在は脳波と深層学習を用いたニューロテック技術の開発に従事。
Yi-Chen Lin, Ph.D.
プロダクト開発リード
2019年に国立陽明大学にて博士号を取得。研究テーマは認知神経科学とニューロイメージング。
Elie Magambo
Elie Magambo
シニアリサーチャー
Elieは早稲田大学でコンピュータ工学のMaster`s Degreeを取得しました。 2019年よりアラヤでディープラーニングと画像認識のためのモデル圧縮技術に従事。現在はR&D部門のチーフリサーチャーとして、BCIとComputer Visionの交差点にフォーカスしている。
中井 智也
中井 智也
チーフリサーチャー
2017年に東京大学大学院総合文化研究科において博士号を取得。その後、情報通信研究機構及びフランス国立衛生医学研究所を経て、2023年にアラヤ入社。研究テーマは数学・言語を中心とした高次認知機能の計算モデルと神経基盤。
桑原 優 Ph.D.
シニアリサーチャー
大阪大学にて霊長類の電気生理学的研究で博士号(学術)を取得後、ワシントン大学での神経経済学的研究を経て2019年6月にアラヤ入社。意識問題、AIを活用した神経科学、ニューロテック開発を研究分野とする。
Anna Maria Hadjiev
プロダクト開発スタッフ
2019年にウィスコンシン大学マディソン校でコンピュータサイエンスの学士号を取得し、2022年に北海道大学で情報科学技術の修士号を取得。研究テーマは、自然言語処理と人工意識。
松吉 大輔 MD, Ph.D.
テクニカルアドバイザー
京都大学にて博士号(文学)取得後、自然科学研究機構生理学研究所研究員、大阪大学特任助教、東京大学特任助教、早稲田大学講師・次席研究員を経て2019年より量子化学技術研究開発機構研究員。専門領域は心理実験・脳機能イメージング(fMRI, sMRI, dMRI, qMRI, MRS, and EEG/MEG)による視覚認知とその可塑性の研究。2015年アラヤ入社。
野辺 宣翔
リサーチャー・プロダクト開発スタッフ
東京大学大学院で神経生物学の修士号を取得。同大学院博士課程/アラヤインターン生を経て、2022年に研究員・商品開発スタッフとしてアラヤに正式入社。主な研究テーマは1.非侵襲的神経記録と機械学習を用いたBCIなどのニューロテック製品の開発、2.差分神経モデルを用いた人間の知能・意識の源泉の探索。
⽻賀 柔
⽻賀 柔
シニアリサーチャー
理化学研究所でMRI装置を用いた霊長類の脳研究に取り組み、2022年に東京都立大学大学院で博士(放射線学)を取得しました。その後、同研究所で特別研究員としての勤務を経て、2023年よりアラヤへ入社しました。主に脳画像データの解析に取り組んでいます。